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隠さない、その喜び 8

Auteur: 花室 芽苳
last update Dernière mise à jour: 2025-10-11 22:08:25

「横井《よこい》さん、スマホ鳴ってるよ?」

 はいはい、言われなくても分かってます。

 いいですね、そうやって梨ヶ瀬《なしがせ》さんは余裕で笑っていられて!

 イライラしながら鞄からスマホを取り出しディスプレイを確認すると……

「し、主任だ!」

  慌てて通話ボタンを押してスマホを耳につける。

 本社勤務になり離れてしまったけれど、長松《ながまつ》主任とは今でもこまめに連絡を取っていていい関係でいられてる。

『もしもし、横井さん? ちょっと、話しておきたいことがあるんだけど』

「はい、なんです? 話したいことって、もしかして御堂《みどう》さんとの事だったり……?」

 あれから二人は、すでに婚約している。

 少し早いが結婚の報告かと、思わずニヤニヤしてしまう。私だって二人の事を応援してたし、結婚式も楽しみにしてる。

 ……のだけど。

『やあね、まだ違うわよ。それより横井さんは、明日と明後日は空いている? 私と要《かなめ》で、そっちに遊びに行こうかと思ってて』

「本当ですか!? 空いてます、例え空いてなくてもこじ開けます! 御堂さんも一緒に休みがとれたんですね、良かった!」

 一瞬、スマホを放り投げてしまいそうになった。それくらい、主任と御堂さんに会えるのは嬉しい。

 しかも明日と明後日なんて、サプライズでもされた気分!

「……御堂、要?」

 ぼそりとそう呟く梨ヶ瀬さん。そう言えば御堂さんも梨ヶ瀬さんも、もともと本社から来た人だった。

 もしかして、知り合いだったりするのかもしれない。

 そう思ったけれど、梨ヶ瀬さんの事は後回し。今は長松主任との話が、一番大事なのだから。

「それじゃあ、何時にこっちに着くんです? はい、はい……分かりました、私もその時間には××空港に着くようにします!」

『いいのよ、無理しなくても? 私は要と一緒なんだし、横井さんだって忙しいでしょう?』

 長松主任はそういうが、私は一分一秒でも早く二人に会いたい。いままで梨ヶ瀬さんの傍にいて、やさぐれた心を癒してほしい。

 それに……さっきの件も相談したいしね。

「いいえ、大丈夫です。明日、明後日は私との時間を優先させて! と伝えておいてください、御堂さんに。それじゃ!」

 まだ何か言いたそうな主任に申し訳ないと思いながら、終了ボタンを押した。

 なぜなら私には今すぐにやらなければならないことが出来
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